“麗しの” アルファロメオ ジュリエッタ スプリント

『1957!!』

 

今回の修理車輌はアルファロメオです

 

比較的輸入車の修理や電装品の取付ご依頼を頂くことの多い当

店ですが、こちらのお車は初めてです

 

『ジュリエッタ スプリント』


「…!?」

 

思わずGoogleで調べてしまいました(恥)

 

輸入車である事、イタリア車である事、年式が古い事、そもそ

もの輸入台数が少ない事、等々の理由がありこちらの車の修理

を請け負えるショップは多くはなく、今回のジュリエッタのオ

ーナー様もメンテナンスにはご苦労があったようです

 

お客様の依頼はスターター修理

 

スターターの調子が悪く、エンジンが上手く始動しないとの事

 

何度もキーをまわしてやっと掛かったり、ある時は結局掛から

なくて乗る事が出来ず…

 

「そのような状態での修理をお願い出来ますか?」

とのお問合せがスタートでした

 

修理と言ってもジュリエッタにはどんなスタータが付いてるの

か全く判りません

調べても判然としません

 

嘘を付いても仕方ないので、お客様には正直に

「データがないので、どのような対応が可能かは判りません」

と前置きをした上で、

「お任せ頂ければ手を尽くして修理を行います」

との返答を行い、修理の受け入れを行う事に致しました

 

多少の不安はありましたが、修理交換を行うのに適合するス

ターターが見つけられなかった場合は、既存の不具合スター

ターを分解して修理し、新品同様に組み上げる事を想定して

おりましたので、何とかなると信じて取り組みました

 

果たして入庫当日

 

事前にオーナー様より

「もし、エンジンが掛からなくなったらそちらまで行けません」

とのコメントを頂いていたのですがその「もし」が本当になっ

てしまいました!!

 

ご自宅を出る時は何とかエンジン始動したのですが、当店まで

の道中でトラブルによってエンジン停止!!

何度スターターを回してもエンジンは掛からず

 

しかもこの日はこの夏多発の「ゲリラ豪雨!!」

 

予定の時間を過ぎてもジュリエッタは姿を現しません

 

結局、自走を断念されたオーナー様の判断により、ジュリエッ

タはどしゃ降りの雨の中、なんとJAFに搬送されて当店ピッ

トに入庫して来たのでした

 

テレビの「救命病棟24時」のシーンを思わせる登場でした

(一同緊張!!)




アルファロメオ ジュリエッタ スプリント

 

名車です 銘車と書くのかも知れません

 

1957年製造との事です

 

今年が2008年ですから、

 

2008-1957=…!!

 

過去当社に入庫した車の中で、最もクラシカルなお車かも知れ

ません

 

いや、多分そうです

 

そのようには全く見えませんが…

 

およそ50年前の車とは思えない美しさです


ひとつひとつのカーブが、直線が、全体のフォルムとして完璧

なデザインを構成しています


後世に残るデザインとは、このようなお車を言うのでしょうね




車を眺めてしばらくの間ニヤニヤ、ウットリしていた自分に気

が付き、慌ててカメラを取り出して撮影を終えました




…しかし、残念なことに現状ではエンジンが掛かりません(涙)


さて、スターター交換作業の開始です


シャシをジャッキアップし、下回りから取り外します


この車種のスターター交換は初めての経験です


メーカーのデータも同業関連会社からの情報も何もない状態で

の作業でしたので、現車・現況を確認しながら慎重に作業を行

います


この年代のお車は最近の車とは設計が全く違いますので、予想

を裏切る自体が次々と発生する事があるからです


案の定、スターターの取外しにはかなり苦労しました(汗)


苦労の末、取り外したスターターモーターです


最後は息も絶え絶えでしたが(笑)、永い間良く働いてくれたと

思います


歴史の重みが、錆と油が染み込んだユニットケースに顕れています


新品のスターター


奇跡的に国内在庫を見つける事が出来ました!


当初は新品リビルトはまず見つからないだろうとの予測から、

現品の分解修理を覚悟していました


実際に装着中のスターターを取外し、現品のメーカー及び品番

を確認してからの検索となる為です


新品スターターを車輌に合わせてみると、フィッティングも問題

ありません


この時点で、今回の作業の成功を確信しました


スターターを無事、新品に交換しました

メインの作業は終了です




おそるおそるエンジンキーを左に回すと、予想を裏切るレス

ポンスでエンジンが掛かりました


「ブ、ブロロロロロロロロロロロロ~!!!」


あの、雨の日の入庫以来、はじめてエンジン音を聞きました


「しゃ、しゃべったぁ~~~(涙)!!」


みたいな感動が走りました




エンジンはもれなく一発でスタートするようになりました


しかも、凄くいい音がします


これぞクルマの音です




また何かお役に立てる事がございましたら、是非ともご用命

下さいませ




末永く、乗り続けられる事を願っております